不況に負けない勝ち組企業になる方法
久しぶりのコラム書き込みです。コンサルタントの稲田です。
最近のご相談は、次のような内容が多くなりました。
1. 資金調達(売上の激減により運転資金が不足)
2. 販路拡大(これまでのお客様からの受注が減少)
3. 経営革新、経営改革(会社の先行きが不透明)
4. 新分野進出(現業だけではやっていけない)
昨年秋からの不況は、少しは回復したのでしょうか?日経新聞10/15によると、ここにきて大手企業については、景気は拡大しているとの評価が増加(34.3%)していますが、中小企業については36.5%がさらに悪化していると評価しています。民主党が政権を取った事が、中小企業経営にプラスに働くでしょうか?ぜひ頑張ってほしいですね。
さて、このような経済環境の中、好調をキープしている企業はいったい何が違うのか? 会社が好調な要因は大きく3つあります。
1. 経済全体が好景気である
2. その企業の業界が好調である
3. 企業努力によって好調をキープしている
上記3つの内、1と2は企業力によるものではなく、成り行きによって好調となっているものであり、景気が低迷してくると一気に売り上げが落ち込んでしまいます。しかし、3の場合には、不況の影響を受けても致命的な事にはなりません。不景気になるとこの差がハッキリと出るのです。では、3を強化するにはどうすれば良いのでしょうか?
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今回はこのテーマをシリーズ6回で取り上げてみたいと思います。
題して、「不況に負けない勝ち組企業になる方法」
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第1回 テーマ「顧客の視点に立った戦略を考える」其の1
初回は、マーケティングにスポットを当てて、考えてみます。
顧客からみると、「他にも沢山の選択肢があるのに、 なぜ貴社の商品やサービスを選ぶ必要があるのか? 」
という疑問に、いかに説得力を持って回答できるかはとても大切です。
皆さんの会社の営業マンは、この疑問に即座に答えられるでしょうか?
この疑問に答えるには、競合と差別化できる独自の「強み」を確立する事が大切です。
強みの確立と言っても簡単ではありません。後述する事を順番に実行してみてください。
1. これまでに購入してくれたお客様の購入動機を調べることからスタートします。
売れる営業マンは、どうしてお客様が自社の製品を買ってくれたかを正しく知っています。売れない営業マン程、お客様の購入動機を勘違いしているものです。この結果から自社製品の強みを明確化していきます。(RFM分析→セグメント分類→評価)
2. 明確化した自社製品の強みを必要としているお客様は誰か?を調べます。
複数の業界で、ある同じ製品群が売れているとします。しかし、ある業界では精度が求められるが、別の業界では価格の安さが絶対条件であり、また別の業界では強度が求められるというようにそれぞれの業界で、製品に求める機能が違う事がよくあります。多くの企業は、この事をよく考える事無く、マーケット規模が大きな市場に力を入れようとします。しかし、いくら一生懸命に営業をかけても、売れないものは売れないのです。必要なのは自社の製品の強みとお客様のニーズがマッチする市場を見極めることです。さらに、絞り込んだターゲットの市場規模、市場動向を調査します。
また、できればターゲットの市場を複数のタイプに分類しておくとベターです。
ここまでの作業で、自社製品の強みと攻めるべきターゲットが明確になります。
ユーザーニーズを特定する調査は、直接インタビュー、アンケート調査、専門家ヒアリング等で行いますが、Webアンケート等を使えば少ない費用での調査が可能になります。
3. 次に、ターゲットを取り巻く競争環境を調査します。同じ業界の事なので、ある程度の 知識があるのは当たり前です。ここで調べる必要があるのはもう少し正確な情報です。
a.競合商品の製品特性、販売価格(卸価格等価格戦略)、競争力、過去の実績
b.競合企業の企業体力(売上高、人員数、ネットワーク等)、グループ会社、関係企業、販売エリア(強い地域、弱い地域等)、主要株主、役員構成、現在の方針戦略、今後の方針戦略、拠点・販売網、財務実績、主要取引先、顧客タイプ等
情報収集の方法は、web、業界組合、会社四季報、各種統計資料、有料企業情報、専門誌、専門紙等。これで不足する場合には、専門業者に依頼することです。調査項目を絞り込めば費用はそんなに掛りません。
これまでの作業で、必要な情報は概ね整った事になります。
後はこれらの情報をフルに使って、戦略を組み立てるわけです。
次回は、戦略検討プロセスについて、掲載します。
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次回「不況に負けない勝ち組企業になる方法」第2回
テーマ「顧客の視点に立った戦略を考える」其の2
自社が進むべき方向性を明確化する、戦略検討プロセス
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2009年10月19日 マーケティングの極意